導入・成功事例

株式会社ダンロップホームプロダクツ


住友ゴムグループの一員として、ダンロップ独自の技術を活かした天然ゴム手袋製品を中心に、キッチン雑貨から介護用品まで、幅広い分野で安全で快適な暮らしを演出する株式会社ダンロップホームプロダクツ。今回は、可視化経営システムの戦略的活用を推進する同社代表取締役 太田一夫氏と企画部部長 石崎実氏にお話を伺った。

早速ですが、可視化経営システムを導入されようと考えたきっかけをお聞かせいただけますか?

 私ども住友ゴムグループでは、10年ほど前から「見える化」が経営上のキーワードとして取り上げられていました。特に弊社の扱うゴム手袋という商品は、競合製品も多く、製品面での差別化も難しいため、営業の対応力が成否を分けます。そこで、「営業」や「顧客」の見える化をしようと、週報を書かせてみたり、あれこれ試行錯誤してきました。ところが、結局は売上数字や販売個数など結果の見える化を脱せなかった。つまり、肝心のプロセスが見えてこなかったのです。そんな時に、NIさんのセミナーに出会いました。

IT日報(Sales Force Assistant)の検討で、他社製品でなく弊社のシステムをご採用された決め手は何だったのでしょうか?

 理由は2つあります。1つは、システムに経営コンセプトやコンサルティングノウハウが反映されている点です。やはりシステムは道具にすぎませんから、それをどのように活用して何を実現するのかが重要です。NIさんのIT日報は、営業改革のポイントがそのままシステム化されています。
 2つ目は、現場での使いやすさです。管理画面についても、システムに明るくない社員でも容易に設定できますので、自社の課題に合わせて柔軟にシステムを育てていくことができると考えました。

導入はスムーズに進んだとお聞きしていますが、どのような工夫をされましたか?

 これもポイントは2つあります。まず、企業ポータルとなるグループウェア(NI Collabo Smart)とセットで運用を開始したことです。ポータルには、各自が今必要な、今知るべき情報が集約されています。社内の様々な情報をポータルに一元化したことで、そこを見ないと仕事ができないという状況を作り上げました。これで、全社員がアクセスする習慣化を図ったのです。

なるほど。「視聴率100%」の企業ポータルづくりですね。もう1つのポイントは何でしょうか?

 「トップダウン」です。単なるシステム導入ではなく、まさに営業スタイルの変革ですから、経営トップの強い信念と意志表示が必要です。「やらなければ許さない」そうした社員への意識づけを徹底しました。

どのような導入の効果を実感されていますか?

 狙い通り、社内の情報流通が大幅にスピードアップしました。日報ですから、現場の情報、とりわけお客様の反応や競合の動向がデイリーに吸い上げられます。それに対するフィードバックも我々がデイリーに行うことで、経営のスピードが格段に上がりました。また、鮮度の高い情報が全社で共有されますので、成功事例・失敗事例のヨコ展開もスムーズに進んでいます。

現場の営業担当の皆様の変化はどうでしょうか?

 会社の動きや上司の仕事がオープンになり、社員のモチベーションが上がったように感じます。自分の仕事が全社の方針にどのように寄与しているのか、上司はどのような仕事をしているのかがわかりますので、自分の貢献度を肌で感じることができるようになったからでしょう。
 またIT日報の「GoodJob!ポイント」機能や「グリーンカード」機能で、一人ひとりの良い仕事が見える化されます。これを使って、弊社では年度末に獲得ポイント数に応じて表彰するなど、適度な競争心も醸成しています。

それでは、管理職のマネジメント面ではどうでしょうか?

 文章で整理された鮮度の高い情報を受けて、さらにこれまでの商談履歴を見て経緯を把握してから部下にアドバイスができますので、「次に何をするべきなのか」というアクション指示の具体性が高まりました。また上司のコメントもオープンになっていますので、公平で公正な指導を心がけるようにもなっています。

御社では間接部門や製造部門でも活用されているそうですね?

 はい。まず、グループ会社の工場がマレーシアにあるのですが、その工場責任者とも情報共有しています。すると、弊社の営業マンが入力した製品クレーム情報や要望が工場ともリアルタイムで共有できますので、例えば商品欠陥撲滅のための製造ラインの改善などがスピーディに行えます。今後は蓄積された要望やクレームに基づいた商品企画に結び付けたいと考えています。
 またスタッフ部門でもIT日報を利用しています。スタッフ部門の仕事はなかなか見えづらいものですが、これをオープンに見える化したことで、業務の進捗管理がスムーズになりました。またスタッフ部門は社内にいる時間が長い割に、営業部門に比べて上司と部下、あるいは社員同士のコミュニケーションが意外に少ないのです。そこでIT日報にちょっとした悩み事や困り事、ぶつかっている壁などを書いておくと、上司が適切なフォローアップをするなど、コミュニケーションの補助ツールとしても役立っています。

まさに「仕事の見える化」ですね。それでは、今後の課題、目指すステップをお聞かせください。

 IT日報では単に今日あった出来事を共有するだけでなく、それが商談履歴として全て蓄積されます。せっかく蓄積する情報ですから、将来的に活用できる情報でなければなりません。ですから、例えば「◯◯という商品を提案したが成約には至らなかった」といった事実だけでなく、「なぜ決まらなかったのか?」「何がネックだったのか?」といった営業担当者の推察を書かせたい。これが溜まってくると、「どういう時に買って、どういう時に買わないのか」「どういう商品なら採用されるのか」といった、見たくても見せてくれない「顧客の頭の中」、つまりお客様の価値判断基準が見えてきます。これができると、未来に役立つ日報に成長させられると考えています。

最後となりますが、御社では新しい商品ブランドを立ち上げられるそうですね。

 はい、家庭用手袋の新ブランドは『樹から生まれた手袋』と言います。このブランドのコンセプトは「エコ」と「キズナ」です。原材料である天然ゴムは廃棄時に焼却しても有毒ガスが発生しませんし、地中に埋めても分解されます。
 また、このブランドの製品群は「1PAIR for 1LOVE」のキャッチフレーズで業界初の「コーズ・リレイテッド・マーケティング」を実現しています。売上の一部を、マレーシア・ボルネオ島での植樹活動やピンクリボン運動、育児をする男性(イクメン)を支援する活動等の社会貢献に充てます。『樹から生まれた手袋』の購入を通じて、お客様が社会貢献に参加でき、また間接的にお客様のお役に立てるような、企業とお客様の「キズナ」の仕組みを作りました。
 これから顧客である小売企業様や流通卸様に提案を開始し、店頭に並ぶのは今年の9月頃の計画です。新しいコンセプトの新しいブランドですから、戦略的にマーケティングや営業を展開していく必要があります。その進捗状況やお客様の声を、IT日報を駆使して日々モニタリングし、改善を積み重ね、成功に結び付けたいと考えています。

人に優しく、環境にも優しい。ダンロップの独自技術を活かして人々の暮らしと仕事をサポートするダンロップホームプロダクツ。全社一丸となって、一層のスピード経営とコラボレーションを推進していただきたい。

導入製品

業種 導入年月 導入製品
製造業 2009年9月

 ✔ Sales Force Assistant 顧客深耕

 ✔ グループウェア「NI Collabo Smart」


企業概要

株式会社ダンロップホームプロダクツ
本     社 〒541-0059 大阪府大阪市中央区博労町4丁目6番10号 ハニービル5階
Tel 06-7654-6439 Fax 06-6120-7327
設     立 1973年(昭和48年11月)
代  表  者 代表取締役 太田 一夫
事 業 内 容 手袋全般(家庭用・作業用・業務用)・スポンジたわし・ガス用ゴム管・水枕・保冷用具・介護用品の販売
資  本  金 1億円(2010年3月31日現在)
従 業 員 数 65名(2010年3月31日現在)
関 連 会 社 住友ゴム工業株式会社