バルクハンドリングに精通した技術力を駆使して、環境に配慮した製品やサービスを供給し続ける株式会社椿本バルクシステムは、営業マン一人ひとりのコミュニケーション能力に着目、IT日報の導入とともに組織改革を続けてきた。こうした地道な努力により、近年は業績も毎年10%ずつ右肩上がりを続けているという。
今回は、強力な営業体制をわずか数年で築き上げた松宮哲 代表取締役にお話を伺った。
当時は、生産部門だけが自社でカスタマイズして導入したシステムを活用していました。いっぽう、営業部門はというと遅れていて、紙の週報をベースに進捗管理や案件データを書いて提出していました。
具体的には、営業グループのリーダーが週一回、所属グループの週報を集めて、直属の部門長に渡します。さらに、それを部門長が取りまとめて、月に一度の本社ミーティングに持ち寄ります。この段階で、はじめて全社の営業の進捗状況が、トップを交えた本社会議で確認される、という流れです。
従来の方法ですと、現場の営業マンの週報が私たち経営層の目に届くまでに、約1週間の時間が掛かっていました。さらに、営業ユニットが担当するクライアントは常時100を越えていたにもかかわらず、案件進捗は月に一度の本社会議でしか修正されないのですから、これは問題です。 しかし、代替となる良い方法がなく、改善は進みませんでした。そんな折、長尾社長の著書をたまたま書店で手に取ります。これをきっかけにして、全社でIT日報の導入を検討することになりました。
主に、次の3つになります。
【 POINT 1 】商談情報の属人化やタイムラグを解消したい。
週報と本社会議だけで現場の状況を把握するのは難しかった。そのため、営業担当、中間層(マネージャー)、経営者をリアルタイムでつなげる仕組みを構築したかった。
【 POINT 2 】営業マンのコミュニケーションスキルを高めたい。
営業マン一人ひとりが顧客との対話能力を高めないと、今後、自社の営業が成り立たなくなるという危機感があった。
【 POINT 3 】成功事例の共有化を図りたい。
部門・拠点を越えた成功事例の蓄積ができていなかった。ベテランや若手の垣根を越えて、社内のノウハウを上手に活用していく協働体制の必要性も感じていた。
ただ顧客の声に応じているだけでは、これからの時代、競合と競り勝っていくことはできません。市場で生き残っていくことさえ、厳しいでしょう。
営業マンが足で稼ぐ時代は、一昔前の話です。今はクライアントのニーズの奥底にある、目に見えにくい何かにどう気づくかが求められます。そのために、営業マン一人ひとりのコミュニケーション能力を高めることが不可欠だと考えました。
ちょうど、業界全体が御用聞きからソリューション営業に舵を切りはじめた時期でもあったため、社内的にも何か手を打たなければ、という危機感が高まっていました。そのため、導入自体は比較的スムーズに運びました。
ただ、やはり最初は管理強化と思われて、反目する社員もおりました。
そのため、「これは行動管理ではない。どこへ行ったか、何をしたかはいらないから、今後の営業に活用できる有益な情報を入力してほしい」と繰り返し伝え、考え方を変えていきました。
日々の営業情報をデータベース化し、リアルタイムに閲覧可能としたことで、報告や相談のヌケモレがなくなり、意思決定がスピーディーになりました。
と同時に、お客様の具体的な要望、面談時の微妙なニュアンスといった、本来なら営業マンに「属人化」、つまりはブラックボックス化してしまう生きた顧客情報の蓄積も行えるようになりました。
また、IT日報を導入したことで見える化が進み、無駄な工数を省いたり、リソースの省力化につながったりしたケースもあります。具体的には、東京と大阪で別々の営業担当がついて進めていた案件が、実は同じ代理店からの同一の紹介先であったことがわかり、営業体制を見直すきっかけになったケースなどです。
IT日報を導入してからの3年間は、昨年対比で 10?15%ずつ増収が続きました。もっとも、去年までの景況感が大きく影響していると思いますが。
ただ、その間に、明らかに変わったと感じたことがあります。それは、チームに連帯感と責任感が芽生えたことです。
IT日報の導入を機に、私たち経営陣は「個人でなく組織で仕事をしなさい」と指導するようにしてきました。そして、私たち自身も率先して行動で示すため、これまで以上に長期的なストーリーを描き、周囲と連携を図りながら仕事に取り組むようになりました。こうした、トップの有言実行の風土づくりが、じょじょに培われていくことにより、組織全体に伝わっていったのだと思います。
そうですね。これはあくまで個人的な見解ですが、結論から述べると、営業マンの能力差は、“気づく力”だと感じています。
結果を残す営業マンの日報を振り返りますと、商談の中で相手を良く観察していることがわかります。また、短い時間で得ている情報量、そこから相手が何を欲しているかを感じる力が圧倒的に違います。
まじめな事は重要ですが、それだけでは前に進まないこともあります。営業の難局を打開していくには、この“気づく力”が必要なのではないでしょうか。
営業マン一人ひとりが顧客との対話能力を高めるためにIT日報を上手に活用し、同時に、社内の活性化にもつなげる。その陣頭指揮を執る松宮代表取締役とともに、今後も益々発展を続けていただきたい。
モノを動かす(Motion)分野において、自ら動き変革していく―
私たち、つばきグループは「Innovation in Motion」のブランドメッセージのもと、
世界のユーザーにベストバリューをご提供します。
業種 | 導入年月 | 導入製品 | |
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製造業 | 2007年7月 |
✔ Sales Force Assistant 顧客深耕創造 ✔ 顧客の声 |
株式会社 椿本バルクシステム TSUBAKIMOTO BULK SYSTEMS CORP. |
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本 社 | 〒561-0872 大阪府豊中市寺内2丁目4番1号 緑地駅ビル7階 TEL:06-6862-2331 FAX:06-6862-8241 |
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設 立 | 1981年(昭和56年4月1日) | ||
代 表 者 | 代表取締役 松宮 哲 | ||
事 業 内 容 | (1)ばらもの(粉・粒体)搬送コンベヤと付属機器の製作納入 (2)穀物サイロシステム、ばらもの(粉・粒体)ハンドリングシステム、とそのエンジニアリング (3)ばらものコンベヤの据付スーパーバイジングとメンテナンス |
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資 本 金 | 1億5,000万円(2007年3月31日現在) | ||
従 業 員 数 | 150名(2008年3月31日現在) | ||
関 連 会 社 | 株式会社 椿本チエイン(親会社) 天津椿本輸送机械有限公司 |