導入・成功事例


浅野金属工業株式会社(本社、新潟県三条市)は、ステンレス鋳鋼、漁具、船具、ヨット部品、建築建設用金具類などの製造・販売を主体としている。お客様本位という企業姿勢を貫くため、“確実な在庫体制”と“迅速な出荷体制”の整備に全力をあげ、独自の新物流システムの確立によって、どの地域にあっても“即日出荷”が可能となりつつある。このため、わずか9人の営業社員は全国を奔走し、さらに強固な販売ネットワークを急速に拡大しているのである。
弊社SFAパッケージ「Sales Force Assistant 顧客深耕創造、顧客の声、NI Collabo Smart」の導入から一年。全国を飛び回る営業社員からの報・連・相、情報交換等が、紙の日報時代よりもよりスムーズに行われるようになったため、お客様に対してスピーディーに対応できるシステムが全社的に出来上がったという。専務取締役 浅野金治様、総務部 齋藤敦様に経緯を伺った。

最優先課題は業務日報の電子化

専務取締役 浅野金治様 日本全国を商圏としながらも、拠点は本社がある三条市のみ。会社近郊はともかく遠隔地ともなると三~四日の出張は当たり前で、二~三週間の長期出張も頻繁にある。営業社員は一日の終わりに出張先のホテルからファックスで業務日報を本社へ送り、次の出張先へと移動する。そしてまた日報送付の日々。三週間ぶりに出張から戻ると、他の営業社員がどんな案件を抱えているのか全くわからないこともしばしば。発注部門や設計部門の社員の機嫌がなんとなく悪かったのも、連絡の行き違いだったことが後になってわかるということがよくあった。こうなってくると営業部門だけの問題では済まなくなってくる。部門内はおろか、他部門との連携をも危ぶまれ、ひいては全社的な問題にまで発展する可能性も大いにありうる。ともかくお客様に迷惑をかけることだけは避けなければならない。浅野専務は、こうした状況をいち早く打破すべく、業務日報の電子化に取り組み、営業改革を推進することとなった。
 「紙の日報だと、完全に過去のデータであるというだけでなく、管理・活用が大変困難で、未読か既読か、どこまで読んだのか、今、誰のところにあるのかわからなくなるわけです。当時は、十人ぐらいで順番に日報を読んでいたんですが、社にいないことが多いものだから、皆が読んで一回りするまでに相当時間がかかっていました。一番肝心の顧客対応が遅れてしまっては、日報の意味がまったくありません。営業の生産性を上げるためには、いつでもどこでも入力できて、どこからでも他の社員が書いたものが読めてしまう。そして、それに対してスピーディーに対応できるということを考える必要があったのです。まずは日報を電子化して、それにまつわる煩雑な業務を簡素化し、情報共有してみたらスムーズに仕事が運ぶのではないかなという気持ちから始まったんですよ」

日報を読むだけでうれしい誤算も

 日報の電子化=キーボード入力という作業は免れることができない。これを一番嫌うのは当事者である営業社員である。営業社員の理解が得られ、情報がデジタル化され、蓄積されていけば、まさにデジタル化の面目躍如たるところ。うまく機能してくれば、顧客に対してのタイムリーかつスムーズな対応に効力を発揮するようになる。
総務部 齋藤敦様 「営業社員の抵抗は意外とありませんでした。パソコンで打って、データを送信するほうが紙に書いていたときよりもうんと楽になったと喜んでいますよ。就寝前にホテルでまとめて書くというのも大変だったでしょうからねぇ。最初に導入研修を行ってもらったのも良かったと思っています。この研修で業務日報に対する皆の意識が大きく変わったんです。最初こそダラダラと書いたり、マニアックすぎたりと大変でしたが、すぐにポイントを押さえて書くことに慣れていきました」と語るのは齋藤さん
今では、上司が部下にコメントを入れるだけでなく、社員同士でコメントを入力しあって、あまり顔を合わせることのない営業社員同士のコミュニケーションツールにもなっている。日報は上司が読むだけの事後報告書というこれまでの概念が大きく変わり、営業社員同士の相互理解や、他の社員の成功事例、クレーム事例を読むことで得られる疑似体験を積極的に自分の営業にも活かせるようになってきたのである。
 また、営業部門の日報を管理部門が読んで、営業で困っているから早めに支援しておかないと間に合わない。こんな案件が進んでいるのだったら在庫は早めに発注しておいたほうがいいというふうに、起こった出来事に対し、ただ「対応」するだけでなく「機転」を利かし、「察する」(先手を打つ)ことができるようになったのである。日報を読むだけで発注の予測まで適切にできるようになろうとは・・・ うれしい誤算が生じてしまった。
 設計に対してのクレームもしかり。以前だとクレームがぼやけてしまっていて、クレームかどうかの判断が難しく、設計に反映されるまでにかなりの時間を要していた。クレームが全社員にオープンになったため、個人対応まかせでは済ませられなくなり、明確に処理するようになった。しかも、対応記録がすべて残っているから今現在発生している問題の経緯が全社員にオープンになるのである。北海道と九州で同じようなクレームがあっても、北海道が済んだら、九州のものと、それぞれからあがってくるまで対応できなかったものが、情報の一元化によって、同時に処理できるようになった。
 日報を書くという作業は変わらないものの、意識とツールが違ってくれば結果が大きく変わってくるということを社員全員が実感している毎日である。

SFAで実現する社内外へのスピード対応

 コスト面と大容量かつスピーディーなデータ処理に一役買い、ストレスの少ない使用環境を実現しているのがNTTドコモのFOMAでのアクセスである。従来のモバイル環境=PHSという考え方では、海沿いに顧客の多い同社では現状にそぐわないので使えないという結論に至り、FOMAとXWAVE(FOMAパケット通信によるLANアクセスサービス)を使い、パソコンから社内LANにアクセスし、出張中の新製品の閲覧や日報の送信等に利用するようになった。FOMAの速さと快適さを否定するものは営業社員にはいないのが現状である。
「出張中はケータイでの連絡は欠かせません。従来でしたらケータイとPHSの両方で考えざるを得なかったんでしょうが、そうなると経済的にも負担ですしね。音声通話と大容量のデータ通信の両方に優れているFOMAだからこそできたんだと思います。本当に満足しています」と齋藤さん。
 今後は、出張先から見積書、売り上げ、在庫量などのデータを見られるようにしたり、お客様から質問された製品をカメラを使用してすぐさま設計部門に送信して返答をもらったりと、見積共有管理ソフトや基幹システムとの連携によって、さらに活躍の幅が広がっていくことになりそうだ。
 「営業効率をアップするためのツールとしては、今のところは申し分ありません。あとは、どのように管理・運用していくかという社内の問題になってきます」と浅野専務。
 日々の営業活動の効率化・社内コミュニケーションの充実、お客様に対してのよりスピーディーで誠実な対応など、全社一丸となって取り組めるツールを活用し、これからさらに深く耕す時期を迎えようとしている。

企業概要

浅野金属工業株式会社
本     社 〒955-0803 新潟県三条市月岡 2866 番地
TEL(0256)33-0101 FAX(0256)33-0096
創     立 明治25年8月
設     立 昭和19年8月
代  表  者 浅野良喜
事 業 内 容 ステンレス鋳鋼、漁具、船具、ヨット部品、建築建設用金具類などの製造・販売
資  本  金 2000万円
従 業 員 数 37名